歯の豆知識

インフルエンザ予防に歯磨きをプラス✚

こんにちは!福岡市南区大橋 痛くない・怖くないと評判の歯医者 歯科医師の小幡と歯科衛生士の八尋です。当院は大橋駅から歩いて徒歩5分です。提携駐車場もございますのでお気軽にお尋ね下さい☆彡

今年もインフルエンザの季節がやってきました。福岡でも定点当たりのインフルエンザ患者数が、平成31年第2週(1月7日~1月13日)に51.87となり、国が警報の指標としている30を大きく上回りました。
皆さんは、インフルエンザ対策として何をされているでしょうか?
厚生労働省HPではインフルエンザを予防する有効な方法として、以下が挙げられてます。
1) 流行前のワクチン接種
2) 外出後の手洗い等
3) 適度な湿度(50~60%)の保持
4) 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
5) 人混みや繁華街への外出を控える
実は、このような予防法に加えて「歯磨き」にもインフルエンザの予防効果があるということです。

インフルエンザウイルスは、鼻から喉(のど)にかけての粘膜の細胞にくっつき、侵入します。ただし、粘膜はタンパク質で覆われているため、インフルエンザウイルスはなかなかくっつくことはできません。
しかし、口腔内の細菌は「プロテアーゼ」や「ノイラミニダーゼ」と呼ばれるタンパク質を分解する酵素を出すため、粘膜を覆っているタンパク質を破壊してインフルエンザウイルスが細胞に侵入するのを手助けします。 
さらに、インフルエンザウイルスは口腔内の細菌が出すこの「ノイラミニダーゼ」を介して次の細胞へと感染し増殖していきます。(タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスに直接作用するわけではなく、この「ノイラミニダーゼ」の働きを妨げることでウイルスの感染拡大を防ぐ薬剤です)
つまり、口腔内を不潔に保っているとインフルエンザに感染しやすくなり、重症化することにつながります。歯周病により歯肉に炎症があると、さらにウイルスの感染を促進させます。 また口腔内細菌が多いとインフルエンザ治療薬が効きにくくなるという報告もあります。

奈良県歯科医師会の調査では、介護施設で歯科衛生士が高齢者に対しブラッシングや舌磨きの指導を実施したところ、通常の歯磨きをしていた施設に比べてインフルエンザ発症率が10分の1に激減したとのことです。また、2009年から2010年のインフルエンザ流行時に、杉並区の区立小学校で洗面台を増設、歯磨きを促進する運動をおこなったところ、インフルエンザによる学級閉鎖は半分近くまで減少したとのことです。

毎日の歯磨きと定期的な歯科医院でのクリーニングをすることで、より効果の高いインフルエンザ予防をしていきましょう。

続いては毎日の歯磨きについてです。
歯を効果的に磨くポイントとしては、
・夜寝ている間に口腔内の細菌が繁殖するため、朝起きて歯をすぐ磨く
・舌の上にも細菌が繁殖しているため、舌を磨く
・歯科で定期的に歯石除去をする
・細菌がたまりやすい歯ブラシは1か月に1回を目安に交換する。
ということがあげられます。

歯を磨くといえば、歯磨き粉をお使いの方が多いと思います。
歯磨き粉といってもその用途によって、歯周病だったり、虫歯予防、ホワイトニングなど、いろんな種類の歯磨き粉があります。
実際に、どのような成分が入っているのでしょう?

歯磨剤には基本成分と薬用成分が入っており、
むし歯予防、歯周病予防、知覚過敏抑制、歯を白くする効果のあるものなど様々です。
歯磨剤のチューブまたは外箱に「成分」の表示があり、配合されている成分が書かれています。
その成分について説明します。

基本成分

⚫︎清掃剤
・無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム
清掃剤は研磨剤とも呼ばれ、歯の表面を傷つけず汚れやステインなどを落とす
研磨剤は歯を削るということを聞いた事はないでしょうか。
日本で初めて歯磨剤が販売された頃の商品に粒子の粗い研磨剤があったことからだと考えられます。現在では国際規格によってそのような研磨剤は配合されていません。
ブラッシング圧や毛の硬さには気をつけましょう。

⚫︎発泡剤
・ラウリル硫酸ナトリウム
歯みがき粉を泡立たせ、口中に歯みがき粉を拡散させ汚れを洗浄
発泡剤によってできた泡には、界面活性剤としてのはたらきもあります。
歯みがきをして取り除かれた歯垢(プラーク)やステインなどを包み込み、きれいになった歯面に取り除かれた汚れが再付着しないようにします。

⚫︎湿潤剤
・グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール
歯磨剤に湿り気を与える

⚫︎粘結剤
・アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン
粉末成分と液体成分を結合させて、歯磨き粉に粘度感を与える

⚫︎香味剤
・サッカリンナトリウム、メントール、ミント類
爽快感と香りを与える

⚫︎保存料
・安息香酸ナトリウム、パラベン類
品質の劣化を防ぐ

⚫︎薬用成分
フッ化物(むし歯予防)

・モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム
再石灰化の促進、歯質耐酸性向上
セルフケアで使用されているフッ化物は、現在ほとんどの製品にモノフルオロリン酸ナトリウムかフッ化ナトリウムに大別されています。
フッ化ナトリウムは歯質最表層の石灰化、耐酸性を高めるのに有効で、その反応は速いです。
モノフルオロリン酸ナトリウムは表層化脱灰最深部からの再石灰化を得意とし、その反応は緩慢です。

抗炎症剤
・トラネキサム酸、プシロンアミノカプロン酸
出血防止(歯肉の炎症による出血を促進する「プラスミン」の作用を抑えることで、歯肉からの出血を抑制します)
・β‐グリチルレチン酸
消炎、解毒、抗アレルギー作用
・ビタミンE
消炎、血行促進(歯肉の血流を促進、歯周病予防に効果的です)
・オウバクエキス
 消炎

酵素
・デキストラナーゼ
 歯垢(プラーク)の分解除去

殺菌剤
・トリクロサン、ビオゾール(IPMP)、塩化セチルピリジニウム
 殺菌効果(むし歯菌、歯周病菌の殺菌、菌の増殖を抑えます)

知覚過敏
・乳酸アルミニウム
 象牙細管封鎖(知覚過敏は象牙細管を通じて歯随神経を刺激し、しみる症状が出ます。この象牙細管を封鎖することで、しみるのを防ぎます)、痛み刺激の遮断
・硝酸カリウム
 神経鈍磨作用、痛み刺激の遮断

ヤニとり
・ポリエチレングリコール
 ヤニの溶解除去作用(歯についたタバコのヤニを溶かし除去します)

続いては歯磨き粉の性状について。
最近では、ジェルタイプの歯磨剤も販売されています。
ペーストタイプ、ジェルタイプについて説明します。

☆ペーストタイプ
一般的によく利用されているタイプだと思います。
発泡剤配合、研磨剤配合のものが多いです。
歯ブラシにペーストタイプの歯磨剤を適量付け、ブラッシングした後、ゆすぎます。
ペーストタイプには研磨剤が配合されているため汚れの除去効果が高く、またステインを落としてくれます。
しかし発泡剤の効果で口の中が泡だらけになると、それだけで磨けたように思えてしまい、実際にはまだ汚れがあるにもかかわらず歯磨きを終わらせてしまう人は多いので気をつけましょう。

☆ジェルタイプ
発泡剤無配合、研磨剤無配合のものが多いです。
ジェルタイプは発泡剤無配合で泡がたたない上、研磨剤も無配合なためステインは落ちにくく、しっかり歯を磨いたと実感しにくい面があります。
しかし、ジェルなので薬剤が歯面に滞留しやすく、薬剤の効果が得られやすいです。
また、歯面に滞留しやすいということから、就寝前にフッ素配合のジェルを歯全体に塗布し、洗口は軽く1回ゆすぐ程度にし、フッ素を長く保持することでさらにむし歯予防効果が高まります。
電動歯ブラシを使用されている方で、歯磨剤の泡立ちが良くみがきにくいという方は、ペーストタイプの使用をおすすめします。

歯磨剤をより効果的なものに

現在歯磨剤の種類はたくさんあります。その中から目的、用途に合わせて歯磨剤を選ぶことで、日々のブラッシングがより効果的なものになります。
どのような歯磨剤が自分のお口に合うのか分からない方は、歯医者さんで相談してください(^ ^)